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空海が唐から持ち帰ったと聞くと、経典が何冊か並ぶ棚を思い浮かべるかもしれません。ところが文化庁の文化遺産データベースが紹介する「御請来目録」には、経典だけでなく梵字真言、曼荼羅、道具、伝法の印信まで記されています。目録の数字を読むと、何を学び何を持ち帰ったのかが少し具体的になります。
このページで紹介される現存資料そのものは江戸時代刊。空海が帰国時に作成した目録の原本と、後世に刊行された資料を混同しないところから見ていきます。
「御請来目録」は帰国時に唐からの請来品を記した一覧
文化庁によると、空海は大同元年(806年)8月に帰国し、同年10月22日に唐から請来した品々を目録に記して朝廷へ献上しました。旅の感想を綴った日記ではなく、経典や法具などを項目ごとに挙げた記録です。冒頭の上表文には、入唐中に学んだ様子も記されています。(文化庁・文化遺産データベース)
目録の本文を読む前に、何のために作られた資料かを押さえると、品目が「空海は何を持ち帰り、何を朝廷に報告したのか」という問いに変わります。『空海の座標』には代表著作の一つとして請来目録を読み解く章があります。
経典のほか、真言・論書・曼荼羅・道具も分類されている
文化庁DBが示す概要は六つの分類です。新訳・旧訳の経典は142部247巻、梵字真言や讃などは42部44巻、論疏章などは32部170巻。さらに仏・菩薩・金剛天の像や曼荼羅などが10舗、恵果から付嘱された道具が9種、阿闍梨伝法の印信が13種と紹介されています。(文化庁・御請来目録の概要)
「142冊」と言い換えると、部と巻の違いが消えてしまいます。数字を引用するときは単位ごと書き写すのが安全です。書物だけでなく図像や儀式の道具も含まれると知れば、持ち帰ったものを現代の本棚にある書籍だけで想像しなくて済みます。
冒頭の上表文は持ち帰った品と入唐中の学びを結ぶ
品目だけ追うと内容の多さに目が行きます。そこで冒頭の上表文にも注目します。文化庁DBは、ここに入唐中に学んだ様子が記されると説明しています。空海が何を受け取り、何を学んで帰ったかを品目と報告文の両方から捉えられます。(文化庁・資料解説)
目録に名があることだけで、読者がその品を直接見たり、教えのすべてを理解したりできるわけではありません。細部は翻刻や専門書の解説で確かめる。概要をつかんだら、項目を一つ選んで調べるくらいが読み進めやすい順番です。
現存する目録資料は江戸時代刊、空海の原本とは分ける
見落としたくないのが文化庁DBに掲載された資料の年代です。説明には「江戸時代刊」とあります。空海が806年に作成した目録の内容を伝える資料ではありますが、紹介ページに載る一冊そのものを、空海が唐から持ち帰った原本と受け取らないようにしましょう。所蔵先は愛媛県歴史文化博物館と記録されています。(文化庁・資料年代と所蔵先)
現物公開や展示の有無は時期で変わるため、見に行くなら博物館の最新案内を確認します。文化庁DBの画像・解説と目録の読解書を照らし、年代、所蔵先、本文の内容を別々にメモすれば、空海の請来品と後世の伝本を区別できます。
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