この記事には広告・アフィリエイトリンクが含まれます。
たとえば、空海の本を探していて、表紙に「即身成仏義」「声字実相義」「吽字義」と三つも並んでいたら。
ちょ、ちょっと待って。
一冊の題名なの? 三つ買うの? そもそも最後の字、何て読むのーー!
ここ、先にほどこう。今回取り上げる角川ソフィア文庫は、三つの著作を一冊で読める本。題名は順に「そくしんじょうぶつぎ」「しょうじじっそうぎ」「うんじぎ」と読むよ。
三つに共通する中心は大日如来。でも、そこへ向かう問いが違うんだね。自分の身体との関係を考える入口、言葉を考える入口、そして「吽」という一字を考える入口。入口が見えると、難しい題名がただの壁ではなくなる。
原典をすべて読んだ書評ではなく、出版社の構成案内と宗派の公式解説を手がかりに、最初にどこへ目を向けるかを一緒に決めていこう。
三つの題名には、違う入口がある。まず一冊の見取り図をつかもう
最初から、三つの内容を同じ「空海のすごい教え」にしてしまうと、読み分ける手がかりが消えてしまう。そこで、ここでは次の三つの問いを置くよ。原典の決まり文句ではなく、読み始めるための案内用の問いね。
| 著作 | 最初に持っておく問い | 立ち止まって確かめたいこと |
|---|---|---|
| 即身成仏義 | この身と仏は、どう関わるの? | 身体、世界、実践がどう結び付くか |
| 声字実相義 | 言葉は、何を表しているの? | 普段の言語だけで考えてよいのか |
| 吽字義 | 一字に、どこまで意味があるの? | 字の見え方と、その意味の説明 |
わあ、一字にまで話が進むんだ!
人物の伝記とはずいぶん違う方向へ開いているよね。留学や高野山の歴史を追う本を期待しているなら、今回の一冊で中心になるのは思想の文章だと知っておこう。
KADOKAWAの書籍紹介と目次では、空海の著作を加藤精一の編で読む文庫として案内されている。掲載目次には三著作それぞれの解説と、原文の訓み下しもある。現代語訳だけを置いて終わる構成ではないんだね。
ただ、目次が見えることと、手元に届いた本の文字が自分に読みやすいことは別。試し読みを使えるなら、一段落の訳文と解説の置かれ方を見てみよう。紹介文を読んで納得した後に、文字の細かさでつまずくのはもったいないから。
購入候補は『空海「即身成仏義」「声字実相義」「吽字義」 ビギナーズ 日本の思想』。紙の文庫のISBNは9784044072292。出版社では紙と電子が別の発売日で掲載されているので、注文するときも形式を見ようね。ここでは紙の同版を探すリンクを置いている。
もし、今知りたいのが三密なら、即身成仏義の目次から。文字や真言への関心が強ければ、声字実相義や吽字義の解説を先に見て、気になる本文へ戻る読み方も提案できる。
全部を均等な速度で読む、と決めなくていいよ。何が知りたいかによって最初のページを選べるのは、複数の著作がまとまった本の使い方として便利なんだ。
三つの問いは紙に一行ずつで十分。読み終わった文章がどの問いに応じているかを照らしてみる。その段階で答えが書けなくても、次に見る解説の場所が決まるよ。
即身成仏義は、この身と仏の関係へ。三密を掛け声だけにしないで読もう
「即身成仏」と聞いて、亡くなった後の話かな、と考えた人もいるかもしれないね。高野山東京別院の即身成仏の解説では、生きながら仏となることが可能だという真言宗の教えとして説明されている。
あ、今ある自分の身体が話に入っているんだ。
そこで「頑張ればすぐ、何でもできる!」へ飛ばず、どういう世界の理解と実践が背景にあるのかを見たい。
東京別院の説明には、六大・四曼・三密が出てくる。六大は地・水・火・風・空・識。世界を考える要素として、物質だけではなく精神を表す「識」も含めているんだね。これは密教の教えの説明で、現代の化学の元素一覧として読むものではないよ。
四曼は四つの曼荼羅に関わる言葉。公式解説は仏像、法具、梵字などによる表現を挙げている。そして三密では、身体・言葉・心の実践へ話が進む。世界の成り立ち、現れ方、実践。この順番で置くと、初めて見る用語にも役割ができる。
とはいえ、名前を六個、四個、三個と覚えたら理解完了、ではないよね。たとえば「身体の話だけ読みたい」と思っていても、本文では世界との関係が出てくる。そのとき、関係の説明を飛ばして結論だけ拾うと、何を根拠に言っているのかが見えにくくなる。
総本山金剛峯寺の教義解説では、三密加持について、本尊と行者の身・口・意の働きが感応する修行の境地として説明している。身は身体、口は言葉、意は心。日常で三つのよい習慣を選ぶだけ、という意味に置き換えてはいない。
ここ、丁寧に持っておきたいな。
読書中に自分の生活を思い出すのは自由。でも「丁寧に家事をすれば、即身成仏義を実践したことになる」とまで言うには、別の根拠が必要になる。
まずは本文の中で、仏と人の関係がどう説明され、その後にどんな実践の話が置かれるかを追ってみよう。手順を見よう見まねで作るより、解説と対応する箇所を読む方を、この記事では勧めたい。
読むときには、分からない用語すべてで止まらず、今回の段落で「世界」「姿」「実践」のどれを説明しているかを余白に一語だけ残してもいい。本に書き込めないなら別紙にね。
たとえば三密の段落なら、まずは実践の話だと印を付ける。その前後で六大が出てきたら、今度は世界の成り立ちへ戻ったのかを見る。これは読解のためのこちらの提案で、宗派が定める修行法ではないよ。
専門語を覚える競争にせず、文章の働きを探していく。何が分からないかまで言えるようになったら、その問いを持って解説へ戻れる。
声字実相義は、言葉の範囲がぐっと広がる。会話の上手さとは分けて考えよう
次は声字実相義。題名に「声」「字」とあるから、話し方やきれいな文字を書くコツが出てくるのかな? そう期待すると、ちょっと待って、話の行き先が違うよ、と言いたくなる。
金剛峯寺の教義解説には「法身説法」がある。密教では仏や菩薩を宇宙の真理そのものと捉え、その真理が智慧を説くという考えを説明している。人間が壇上で話す場面だけに限定した「説法」ではないんだね。
声字実相義を言葉の本として読むなら、この背景を先に置いておこう。話し手が人間、言葉は人間の口から出る音、という普段の前提だけでは、題名の三つをまとめきれない。
エンサイクロメディア空海の著作解説は、勝又俊教による『弘法大師著作全集』の解説を出典として、声字実相義と法身説法の関係を案内している。原典そのものと、この研究者による解説は区別して読もうね。
そこで扱われる六塵は、色・声・香・味・触・法。視覚や音だけに限らない、認識されるものへ話が広がっている。字という言葉を、紙に書かれた漢字だけだと思って読むと、この広がりを取り落としてしまう。
えっ、香りや触れることも?
その引っかかりを、消さずに持って本文へ行きたい。今の日本語で分かる言葉だからこそ、専門的な使われ方を確認する価値があるんだよ。
たとえば「声」という文字に出会ったら、その前後で何の働きが説明されているかを見る。「字」の節なら、筆記の文字だけに限定されているのか、それより広い話なのかを確かめる。最初から自分の答えを当てはめず、訳文の説明に従って範囲を少しずつ広げてみよう。
ここで「優しい言葉を使うと願いがかなう」といった効果へ話を変えるのは避けたい。言葉を大切にする日常の判断と、この著作が論じる法身・声・字の関係は、同じ説明にはできないから。
読書メモを一つ作るなら、「普段の意味」と「この節で説明されている意味」を並べる形式が使える。たとえば普段の「字」には書いた文字と記し、本文側の欄は、読んで確かめた内容を自分の言葉で入れる。
右の欄が空っぽでもいいよ。まだ確かめていない内容を、想像で埋める必要はない。次に解説へ戻ったとき、何を探すのかがはっきりしているだけで使えるメモになる。
また、分かった説明を誰かに話したくなったら、「この本では、こういう関係を説明している」と主語を付けてみよう。信仰の教えを、実験で確認された自然現象のように話さずに済むし、自分の意見も続けて分けられる。
一つの言葉が、読んでいる場所によってどこまで広がるのか。その変化を追う読書は、題名を暗記するよりずっと具体的になるよね。
吽字義は「うん」の一字へ。阿吽の気分だけで通り過ぎないでね
ここまで身体、声、字と来て、最後が一字。
少ない字で、話の規模が小さくなると思いきや、むしろ世界との関係を考える方へ向かう。そこ、見てほしい!
KADOKAWAの内容紹介では、吽字義は「吽」の一字と大日如来・世界の関係を説く著作として案内されている。掲載目次では、字相と字義に分かれている。まず、字の見え方に関わる説明と意味の説明がどう進むのかを、読むときの目印にできるね。
日常では「阿吽の呼吸」という言い方を知っていても、それだけでこの本の吽の説明が分かったことにはならない。相手と息が合うという慣用句の話と、密教の思想の中で一字が担う意味を、いったん分けておこう。
また、表紙や紹介文に漢字の「吽」があるからといって、原典に出てくる文字の形や、その分解の仕方がすべて漢字の見た目から説明できると決めない。本文と解説で、どの文字、どの表記を扱っているかを確かめるところから始めたい。
ここで使えるのが、前の節の問いなんだ。「字とは何を表すの?」という問いを持ったまま、一字へ進む。別々の三作を、まったく関係のない話として読む必要はないんだね。
でも、声字実相義と吽字義の説明を一つに混ぜて、自分流の結論にまとめるのもまだ早い。まずは著作ごとに、何を手がかりに、どんな説明がされているかを見よう。似ているように思った箇所ほど、出てきた場所を残すと後で比べられる。
読み始めの提案としては、形について述べた段落と、意味を説く段落で別の印を付ける方法がある。二色の付箋でも、別紙に「形」「意味」と書いてページを添えるだけでもいいよ。
これは字相・字義の内容を読んだ後の答えではなく、読む前に使える区別。中身を確かめたら、自分の分け方で足りない部分がないかを見直そう。たとえば意味の説明が前の著作の用語につながっていたら、前へ戻る場所を足す。
一字であることと、一回読めば簡単に理解できることは別だね。少ない文字を入口にしても、説明には背景がある。分からなくなったときは、字だけをじっと眺め続けるより、その版の解説を先に読むという選択をしてもいい。
手元の本で図や文字の形を見るときは、現代語訳がどの部分と対応するかを確認してね。この記事では実物の文字図を精査していないので、図の数や書体の特徴までは案内していない。そこは試し読みや本そのもので確かめよう。
一字の話を、一字のキャッチコピーで閉じない。この姿勢でページを開くと、難しさも読む対象として残せるんだ。
次に開くのは、いちばん気になった解説。三つを読む順番を自分で決めてみよう
三つの題名を見たときの「どこから手を付けるのーー!」に戻ろう。今は身体、言葉、一字という三つの入口がある。
身体と仏の関係が気になるなら、即身成仏義の解説へ。言葉の範囲が気になるなら声字実相義。一字から思想を考えるところに引かれたなら吽字義。最初の一回は、問いに近い場所を一つ選ぶのでいい。
本文で進めなくなったときは、止まった原因も見ようね。用語の意味が不明なら解説、文章のつながりを見失ったなら前後の段落、訳の対応を見たければ訓み下しへ。全部のページを同じように読み直すより、必要な場所へ戻る方を提案したい。
たとえば即身成仏義で三密に出会い、声字実相義でも似た語が気になった場合。両方の位置を残し、「同じ言葉が、ここではどんな説明をしているか」と比べる。すぐに同じ意味と断定せず、関係を確かめる読書にできるよ。
一方、仏像の姿に興味を持った人なら、教義解説に出る四曼をきっかけに、本文の表現と実際の美術の解説を照らす道もある。ただし、どの仏像でも同じ対応になるとは決めず、作品ごとの説明を読もう。読書から次の関心が生まれたときの行き先としてね。
注文前には、書名と空海・加藤精一の表示、ISBN、紙か電子かを照合する。検索結果には中古や電子版も並ぶので、状態や形式を商品ページで見てから選びたい。価格と在庫は変わるため、購入時の表示で確かめてね。
三作の現代語訳・解説・訓み下しを読む一冊を楽天市場で確認する
もちろん、図書館で同じ版を探してから決めてもいい。購入を急ぐより、読みたい問いに対してこの構成が合っているかを確かめる方が先だよ。
今日の一歩を決めるなら、「三密を読もう」「字の意味を確かめよう」「吽の解説を見よう」のどれか一つ。教義を全部説明できるようになる日を、最初の読書日に設定しなくていい。
三つの名前が、身体と言葉と一字へ開く扉になる。
さあ、どの問いがいちばん気になった? そこからページを開いてみようね!